ミンティア太郎のブログ

ミンティア中毒の女が書く雑記

【WEB漫画】実録漫画「交通事故で頭を強打したらどうなるか?」が凄い

6年ほど前にハマったWEB漫画サイト、新都社。今でも定期的にチェックを続けている。新都社の魅力は、商業では到底読めそうもないディープな作品、いろんな意味でギリギリの作品が数多く存在するところだ。なかでも最近は、エクループ先生の実録漫画「交通事故で頭を強打したらどうなるか?」の更新が待ち遠しくて仕方ない。

 

タイトルの通り、先生は19歳の頃に交通事故でトラックと衝突し、頭を強打したらしい。本作品では、事故後の入院生活や退院後の本人の心の闇、家族の葛藤などが綿密に、そして、主観だけに捉われることなく描かれている。基本的には淡々とした描写が多いが、実体験とあって生々しさはハンパない。独特の切迫した空気には、思わず息をのむこともしばしばだ。

もっとも、事故にあった直後の記憶は曖昧で、作品上の言葉を借りると「私は私でない時も動いていた」らしく、当時のことは家族が記録していた日記を基に執筆されているという。自分ではない人間が書いた日記でしか知り得ない自分自身のこと。初めてその日記を読んだ時、どういう気持ちだったのだろう。そしてそれを咀嚼し、漫画という形にして世に発表する。私のようなウンコ野郎には計り知れない先生の精神力に敬意を表したい。おかげで私たちは、このように貴重で素晴らしい作品を読むことができるのだから。

 

もともとエクループ先生(別名:ベーコン)の作品のファンであった私だが、本作品を読んだ今、過去の作品を読み返すとなんとも感慨深いものがある。

標準モード」「ゲーム脳」「僕らのこみぽ!」など。いい意味でどこか“普通ではない何か”を感じる作品ばかりだった。その“何か”が魅力となって、中毒性を生み出し、多くの読者を惹きつけている。不謹慎かもしれないが、特殊ともいえる先生のカラーは、事故によって得たものなのかもしれない。

 

現在「交通事故で頭を強打したらどうなるか?」は、第一部である「意識不明編」を終え、「後遺症編」を更新中である。最新話(2017.2.1.時点)では、絶望的な展開の続く本作品において初めて、救いのようなものを感じ取ることができた。主人公の心に希望の光が差し込む瞬間の描写には、カタルシスを覚え、涙した。この作品は、インパクトのある題材を扱っているから凄い、というだけではない。先生の漫画力の高さあっての素晴らしさだということを改めて実感した。

この辺りはぜひ、本作品を読んで体感してほしい。